樹勢の回復

■樹勢回復のために

樹勢衰弱の原因は、前述したように、@切口・傷口への腐朽菌の侵入による幹や枝の腐朽、A土壌状態の悪化などがあります。また、排気ガスや日当たりが悪いなど樹木のおかれている周辺環境により、樹勢が衰退することもあります。

よって、私達は、樹勢が衰弱している原因を様々な角度から検討し、次のような作業を行います。

  • 腐朽が原因の場合 → 腐朽部分の切除と処置後の保護
  • 土壌の悪化が原因の場合 → 土壌改良
  • 周辺の悪環境が原因の場合 → 環境の改善や障害物の除去

前述したように、腐朽部分は完全に切除し、ウレタン処理などは行わず、《「樹木の味方」》(じゅもくのみかた)を塗布しておきます。また、土壌の悪化が原因の場合、嫌気性微生物系土壌改良資材を使用、土壌に従来から存在する微生物の増殖により、土壌が望む自然生態バランスを整え、土壌の浄化・改良を行います。

樹勢衰弱の樹木の多くは、腐朽や土壌悪化だけでなく、様々な要因が重なっています。よって、それらが何かを的確に判断し、できるだけその障害を取り除くことが作業の重要なポイントとなります。例えば踏圧被害の場合は、根元周辺に柵を造ります。

また、排気ガスや日当たりが悪いなど、外部環境が原因の場合、できるだけこれらの影響が樹木に及ぼさないよう様々な手法をとります。

このように、樹勢衰弱の場合、目に見える被害を取り除く単純な作業だけでなく、樹木のおかれている環境を十分に配慮した総合的な作業・手法が必要で経験やノウハウが極めて重要となります。

今までの「樹木保全」と「樹木保護」をまとめると次のようになります。


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