フラン病との戦い
翌年からは、徐々に収穫ができるようになった。
しかし、どうしても乗り切れない問題があった。
それが「フラン病」である。
この病気は、
リンゴを剪定した切口や傷口から
病原菌が侵入し、
幹や枝が腐ってしまい、最後には枯れてしまうもので、
リンゴ農家の最大の敵であった。
特に秋則さんの場合、無農薬であるため、
フラン病が蔓延し、無農薬りんご栽培の
最大の悩みで死活問題でもあった。
救世主との出会い
ある日、秋則さんは、京都から来たある人と出会った。
彼は秋則さんのリンゴ畑を見に行った時に、
リンゴの幹に土が塗られていたり、
布が巻いてあるのを見て、
彼にこれは一体、何かと尋ねた。
「これが、泥まきというもので、土を塗って、
はがれないように布を巻いて
フラン病対策をしているんです。
農薬を使えないからこれしかできないんです。」
秋則さんの悲痛にも似た叫びを聞いた彼は、
農薬ではなく、
ワサビの抗菌作用を利用した手法を提案した。
最初は、半信半疑であった秋則さんも、
彼の情熱に納得し、自らの畑で試験を開始した。
試験の成功
数ヵ月後、秋則さんは驚くべき光景に出会った。
ワサビによって
フラン病の腐朽被害が止まっていたのであった。
これをきっかけに、彼の無農薬栽培は
一つの壁を乗り越えることができた。

 

秋則さんを救ったワサビの抗菌作用を利用した手法についての秘話は、こちらへ