以下の秋則さんの無農薬栽培の物語は、ある方と二人で酒をかわしながら聞いた実話です。

無農薬リンゴ栽培の決意
当初、秋則さんは農薬を使い、通常の栽培方法でリンゴを作っていた。
しかし、農薬の影響なのか妻の体調が急変した。
もともと、リンゴは、通常、十数回の農薬散布が必要なほど病害虫に弱い。
その困難さを知っている家族に相談すると、「できないかもしれないがやってみろ」という答えに、
前人未到の無農薬・無肥料のリンゴ栽培を彼は決意した。
厳しい道のり
農薬という環境に慣れたリンゴ園では、苦難の連続であった。
害虫を妻と二人で手づかみするが、
取っても取っても害虫は減らず、
夜に畑へ行くと、カサカサと葉を食べる音が聞こえてくるほど、
どうしようもない状況だった。
何年経っても、リンゴは実らない。
農薬漬けの生態系に慣れたリンゴを変えるには、
どうすれば良いか。
様々な試みを行うが、変化がない。そのため、
夜には町でパチンコ店員やキャバレーの呼び込みといった
アルバイトをしながら、 昼は農作業という毎日が続いた。

  (散布写真)

初めての実
無農薬栽培を続けた6年目の春に、小さな実が2つ収穫できた。妻と二人で抱き合いながら、涙を流した。
「ありがとう、無理な環境に良く耐えてくれた。本当にありがとう」。
その日からも、苦難は続くが、周辺の理解もやっと深まり、数年間の苦労も名実共にやっと実った。